オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
- 12/02 初夏の嵐(6)
- 10/13 初夏の嵐(5)
- 10/09 【お知らせ】コメント欄について。
- 09/16 fragile (51) Side: 翼 最終回
- 09/08 fragile (50) Side: 俊&巧
This is new entry
平凡なことだけが取り柄のオレ、山田直が、不良でしかも総長な嘉堵川篤也先輩と付き合うようになって、一ヶ月が経ちました。
他の先輩達も、グループの皆さんも良くしてくれるし、先輩はとても優しくて。
こんな幸せでいいのかな、と思ってしまうくらい、何ごともなく平穏な毎日…
でした…あの日までは。
街路樹の緑も濃くなり、陽気も少しずつ夏の色を纏い始める。
薄くなった制服でも汗ばむ程の空気にふうと溜息を吐いたのは、ホームルーム終了のチャイムが鳴り終わるのと同時だった。
「直~帰れるか?」
教科書を鞄に詰めているところに話しかけてきたのは親友の森永順平だった。
「うん、今日は大丈夫」
オレも頷きながら、鞄を肩に掛ける。
先程携帯を確認したけれど、何の新着も知らせてはいなかった。
きっとまだ終わっていないんだろうな…と恋人を思う。
まさか顔に出ていた訳ではないだろうけれど、タイミング良く順平が尋ねた。
「そいや、今日先輩は?」
「今日お休みなんだ。なんでも、グループの集会だって」
それを聞いた途端、彼の口端が引くついた。色々想像したらしい。
「へ、へえ…」
「行くか、とは聞かれたんだけどね…」
オレの言葉尻に含める気持ちは推して知るべし、といったところで。
ぶる、と身震いをした順平が、首を真横に振った。
「…それは、丁重にお断りだよな…」
…その通り。
グループの皆さんは話してみると存外に優しい人達ばかりで(まあオレが総長の恋人だからというのもあるんだろうけれど)、幾分か打ち解けることが出来ている、と思う。
けれどやっぱり、そういう場にオレが居たら気絶してしまいそうな気がするのだ。
「じゃ、今日はどっか寄って行こうぜ!」
最近先輩と一緒に登下校していたし、順平もサッカー部で忙しくなかなか時間も合わなかった。
先輩との時間も勿論大切にしたいけれど、友達同士の繋がりも疎かにしたくない。
だからその提案には大賛成で、オレもいつもの寄り道候補を脳裏に描く。
「先ずはファーストフードでなんか食べて、本屋でも行こうか」
「お、いいな!あとちょっと服みたいんだよな~」
夏服買わないとなあ、と思案する順平の視線が、ふと前方に泳いで止まった。
なんだろうとその先を追うと、オレ達と同じように帰宅しようと昇降口から出ていた生徒達が前方で立ち止まっている。
わらわらと人が群がっているため、ここからでは奥を窺うことが出来ない。
他の先輩達も、グループの皆さんも良くしてくれるし、先輩はとても優しくて。
こんな幸せでいいのかな、と思ってしまうくらい、何ごともなく平穏な毎日…
でした…あの日までは。
街路樹の緑も濃くなり、陽気も少しずつ夏の色を纏い始める。
薄くなった制服でも汗ばむ程の空気にふうと溜息を吐いたのは、ホームルーム終了のチャイムが鳴り終わるのと同時だった。
「直~帰れるか?」
教科書を鞄に詰めているところに話しかけてきたのは親友の森永順平だった。
「うん、今日は大丈夫」
オレも頷きながら、鞄を肩に掛ける。
先程携帯を確認したけれど、何の新着も知らせてはいなかった。
きっとまだ終わっていないんだろうな…と恋人を思う。
まさか顔に出ていた訳ではないだろうけれど、タイミング良く順平が尋ねた。
「そいや、今日先輩は?」
「今日お休みなんだ。なんでも、グループの集会だって」
それを聞いた途端、彼の口端が引くついた。色々想像したらしい。
「へ、へえ…」
「行くか、とは聞かれたんだけどね…」
オレの言葉尻に含める気持ちは推して知るべし、といったところで。
ぶる、と身震いをした順平が、首を真横に振った。
「…それは、丁重にお断りだよな…」
…その通り。
グループの皆さんは話してみると存外に優しい人達ばかりで(まあオレが総長の恋人だからというのもあるんだろうけれど)、幾分か打ち解けることが出来ている、と思う。
けれどやっぱり、そういう場にオレが居たら気絶してしまいそうな気がするのだ。
「じゃ、今日はどっか寄って行こうぜ!」
最近先輩と一緒に登下校していたし、順平もサッカー部で忙しくなかなか時間も合わなかった。
先輩との時間も勿論大切にしたいけれど、友達同士の繋がりも疎かにしたくない。
だからその提案には大賛成で、オレもいつもの寄り道候補を脳裏に描く。
「先ずはファーストフードでなんか食べて、本屋でも行こうか」
「お、いいな!あとちょっと服みたいんだよな~」
夏服買わないとなあ、と思案する順平の視線が、ふと前方に泳いで止まった。
なんだろうとその先を追うと、オレ達と同じように帰宅しようと昇降口から出ていた生徒達が前方で立ち止まっている。
わらわらと人が群がっているため、ここからでは奥を窺うことが出来ない。
「なんだろうな?」
「さあ…」
お互い首を捻りながら、波を掻き分けていく。
やがて見えてきたのは、校門前の道路脇に止められている、黒塗りの外国車。
どうやらこの車と、その持ち主について皆噂しているらしい。
「すっげ~!これかなり高い車だろ?」
「うちに用事…なんだよね?誰待ちなのかな?」
「お~本当だ。すげーな」
生徒達の囁きに同調する順平の横で、オレはイヤ~な予感がしていた。
オレはあの車が誰のものかを知ってる気がする。というか、知り過ぎている気がする。
「まさか…」
「ん?お前知ってんのか?」
思わず呟くと、順平がすかさず聞き返してくる。
でも確信がないのに話すのも…と迷っていると、車の中から人が降りてきた。
と、その瞬間。
あんなに騒ついていた辺りがしん、と水を打ったように静まりかえった。
コツコツと革靴で歩いてくるのは、長身の男性。
車と同じく外国製のスーツに身を包み、首筋までのショートの黒髪が風に靡く。
やや垂れ目気味だが強気な光を讃えた瞳と、上がり気味の眉からは自信が溢れている。
メタルフレームの眼鏡を掛けた涼しげな眼差しが辺りを見渡せば、堪らず女生徒達から溜息が漏れた。
「ヤバい!かなりカッコ良くない!?」
「誰待ち!?」
「え、ちょっと!声掛けてみようよ!」
人目を惹きつけるその風貌に、人々は一気に色めき立つ。
(…まあ、そうなるよね…)
オレは苦笑とも失笑とも取れる笑みを浮かべながら、その光景をぼんやり眺めていた。
やがて、周りを見渡していた男性がこちらを向く。
目が合うな、と思った途端、彼がオレを見つけた。
「さあ…」
お互い首を捻りながら、波を掻き分けていく。
やがて見えてきたのは、校門前の道路脇に止められている、黒塗りの外国車。
どうやらこの車と、その持ち主について皆噂しているらしい。
「すっげ~!これかなり高い車だろ?」
「うちに用事…なんだよね?誰待ちなのかな?」
「お~本当だ。すげーな」
生徒達の囁きに同調する順平の横で、オレはイヤ~な予感がしていた。
オレはあの車が誰のものかを知ってる気がする。というか、知り過ぎている気がする。
「まさか…」
「ん?お前知ってんのか?」
思わず呟くと、順平がすかさず聞き返してくる。
でも確信がないのに話すのも…と迷っていると、車の中から人が降りてきた。
と、その瞬間。
あんなに騒ついていた辺りがしん、と水を打ったように静まりかえった。
コツコツと革靴で歩いてくるのは、長身の男性。
車と同じく外国製のスーツに身を包み、首筋までのショートの黒髪が風に靡く。
やや垂れ目気味だが強気な光を讃えた瞳と、上がり気味の眉からは自信が溢れている。
メタルフレームの眼鏡を掛けた涼しげな眼差しが辺りを見渡せば、堪らず女生徒達から溜息が漏れた。
「ヤバい!かなりカッコ良くない!?」
「誰待ち!?」
「え、ちょっと!声掛けてみようよ!」
人目を惹きつけるその風貌に、人々は一気に色めき立つ。
(…まあ、そうなるよね…)
オレは苦笑とも失笑とも取れる笑みを浮かべながら、その光景をぼんやり眺めていた。
やがて、周りを見渡していた男性がこちらを向く。
目が合うな、と思った途端、彼がオレを見つけた。
PR