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オリジナルBL小説を扱ってます。 メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
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「に、兄さん、兄さんってば」

オレはずるずると引きずられながら、後ろを気にしつつ声を掛けた。

「いいの?ファンの人達にあんな…オレなら平気だからさ」
「――平気じゃない」

辞めたとは言っても、兄のこれまでの人気に傷をつけるようなことはしたくない。
そう思って心配していると、すぐさま返された。
くるり、と振り返るその顔は、悔しさを滲ませていた。

「オレは!直をよく知らないくせに直を悪く言う奴が、一番許せないんだよ…!」
「兄さん…」
「だってそうだろ?直はこんなに可愛くて優しくて素直で…!」
ぐぐ、と拳に力を籠めるサマは、さながら選挙演説でもしているかのような熱の入り方だ。
放って置いたらエンドレスなんじゃないかというくらいにオレのことを褒めちぎり、そして最後にはっきりと言い放った。

「自慢の弟なんだからな!」
「……。…ぷっ」

こっちが恥ずかしくなるくらいに断言されて、思わず噴出してしまった。
兄さんが言うほど、よく出来た弟なんかじゃない。
だけど…完璧な兄と比べられてばかりのオレが腐らないでいられたのも、こうしてその兄自身が認めてくれているからなんだって、改めて思えて。

オレはいつの間にかさっきまでの悲しさなんて綺麗に吹き飛んでいて、笑いながら兄さんを見上げた。

「…ありがと兄さん、オレの代わりに怒ってくれて…実は、嬉しかったよ」
「…直…」

兄さんもオレの顔を見て怒りがすっと抜け落ちたようだ。
眉根を下げて、困ったように笑った。


「あーもう、どうしてこんなに可愛いんだっ!!」
「わっ!?」

と思ったのも束の間、いきなり抱きつかれる。
身長差があるせいで視界が埋まるし、なによりかなり苦しい。

(しかもここスーパーの中だから…!!)


周囲から悲鳴やらざわつきが起こっているのは……もう全部聞こえないことにしたい。



++++++++++++++++++++++++++++++++++++



「あーあっつー!」

がり、とアイスを齧りながら、オレは太陽を睨んだ。
そんなことをしたってこの日差しは和らがないけれど、自分の中では気が晴れる。

「やっぱりこんな暑い日はアイスに限るよねー」

口内に広がる甘みを享受しながらしみじみ呟くと、隣で呆れたような溜息が落された。

「…龍人、それ何本目?」
「んー?3本目?」
「……」

あ。今完全に呆れられた。
こちらをうんざりしたように睨む泣き黒子の友人の目許は涼しげで、こんな天気なのに汗を掻いている様子もない。
(あー、女優は汗掻かないってやつ?あれと同じ?)
って、横に居るのはどうみても男だけど。それも自分大好きな。

「ねえ、今失礼なこと考えてたでしょ」
「えっ!?なに優士ってばエスパー!?」
「……」

うわあ、今度はバカだとか思われてる。判っちゃうんですけど。
優士がエスパーならオレもそうだな、うん。

暑さのせいかそんなどうでもいいやりとりさえ面倒になる。
オレは会話を打ち切ると、なんとはなしに前方のスーパーの駐車場に視線をやった。

「お」
と、そこには見知った小さな背中が。

「直クン発見ー!」
「あ、本当だ」

優士も同じ場所を見つめる。
学校からもちょっと離れている場所での偶然だけに、オレは嬉しくなって左手を上げた。
「おーい、直ク…」

と、直クンの隣からスッと長身の影が現われる。
離れた距離からでも判る、目鼻立ちのはっきりとしたイケメンだ。
何かを直クンに告げたかと思えば、彼の頭をくしゃっと撫でるではないか。


「って、んん!?」

直クンも嫌がる素振りもなく…それどころか嬉しそうに笑っている。

「えー!?ちょ、ちょっと、あの人誰!?すっごい親しげなんですけど!?」
(まさか、あの直クンが浮気…とか!?)

叫んだ拍子にアイスが棒からずるりと下がったことも気付かずにオレがうろたえていると、隣の優士は冷静に顎に指をかける。

「あれ?あの人、どこかで…」
「――お兄さんですよ」

そう続けようとしたのを遮ったのは、アジトで解散した筈の参謀だった。



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