オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
- 12/02 初夏の嵐(6)
- 10/13 初夏の嵐(5)
- 10/09 【お知らせ】コメント欄について。
- 09/16 fragile (51) Side: 翼 最終回
- 09/08 fragile (50) Side: 俊&巧
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「あれ」
昨日のことを思い出してはイライラしていたオレの右隣で、不意に声が上がった。
首を捻って確かめたオレの視界にまず入ったのは、艶やかな黒髪。
オレ自身生まれながら色素が薄く、毛先だけ色が濃いという稀な髪質なだけに、それはいやに鮮やかに見えた。
そしてすっと通った鼻梁に涼しげな眼差しは、同じ学年とは思えないほど大人びている。
要約するに、かなりのイケメンだ。
オレが馬鹿みたいにぼんやり見返していると、相手も視線を絡めたまま小さく口端を上げた。
「君とは初めまして、だよな?」
「お、おう…?」
そう言われてみれば、こいつの顔は初めて見た。
小首を傾げながら曖昧に返事をすれば、隣の席に腰を降ろしたこいつは、右手を差し出してきた。
「昨日から転入してきた、堂本翼だ。宜しくな」
「お、おお…オレは進藤聖人…宜しく」
あまりに爽やかに挨拶され、ついついつられて握手を交わす。
どうやら、昨日一昨日と忌引で休んでいたから知らなかったようだ。
(…ま、関係ないか…)
転入生への興味は直ぐに失せる。
どんな奴だろうと、オレにとってはその他大勢に変わりはなかった。
親しげにするくせに、皆心の底ではオレのことを憐れんでいるのだろう。
それは彼等の余所余所しい態度を見れば明らかで、オレの不快感は強まるばかりだった。
そんな安っぽい優しさや同情なんて要らなかった。
いつも通りに、何かもなくす前と同じように、接して欲しかったのに。
そんな状態で授業など頭に入る筈もなく、昼休みに入る。
女子と違って男子は大体バラバラで昼食を取っている。
オレも決まった友人と食べることはしていなかったから、のそのそと緩慢な動きで鞄から弁当を出そうとして…そのまま固まってしまった。
(昼飯なんて…あるわけねえじゃん…)
いつも笑顔で弁当を持たせてくれた人はもう、いないのだ。
本当に一人ぼっちになってしまったのだと、言いようのない絶望感に襲われる。
昨日のことを思い出してはイライラしていたオレの右隣で、不意に声が上がった。
首を捻って確かめたオレの視界にまず入ったのは、艶やかな黒髪。
オレ自身生まれながら色素が薄く、毛先だけ色が濃いという稀な髪質なだけに、それはいやに鮮やかに見えた。
そしてすっと通った鼻梁に涼しげな眼差しは、同じ学年とは思えないほど大人びている。
要約するに、かなりのイケメンだ。
オレが馬鹿みたいにぼんやり見返していると、相手も視線を絡めたまま小さく口端を上げた。
「君とは初めまして、だよな?」
「お、おう…?」
そう言われてみれば、こいつの顔は初めて見た。
小首を傾げながら曖昧に返事をすれば、隣の席に腰を降ろしたこいつは、右手を差し出してきた。
「昨日から転入してきた、堂本翼だ。宜しくな」
「お、おお…オレは進藤聖人…宜しく」
あまりに爽やかに挨拶され、ついついつられて握手を交わす。
どうやら、昨日一昨日と忌引で休んでいたから知らなかったようだ。
(…ま、関係ないか…)
転入生への興味は直ぐに失せる。
どんな奴だろうと、オレにとってはその他大勢に変わりはなかった。
親しげにするくせに、皆心の底ではオレのことを憐れんでいるのだろう。
それは彼等の余所余所しい態度を見れば明らかで、オレの不快感は強まるばかりだった。
そんな安っぽい優しさや同情なんて要らなかった。
いつも通りに、何かもなくす前と同じように、接して欲しかったのに。
そんな状態で授業など頭に入る筈もなく、昼休みに入る。
女子と違って男子は大体バラバラで昼食を取っている。
オレも決まった友人と食べることはしていなかったから、のそのそと緩慢な動きで鞄から弁当を出そうとして…そのまま固まってしまった。
(昼飯なんて…あるわけねえじゃん…)
いつも笑顔で弁当を持たせてくれた人はもう、いないのだ。
本当に一人ぼっちになってしまったのだと、言いようのない絶望感に襲われる。
「食わないのか?」
「え…」
振り返ると、自席で弁当を広げている堂本に話しかけられていた。
ちらりと見ただけだも分かるほどに美味しそうなそれに、格差を見せつけられたようで無性に腹が立つ。
「ん~、なんか昼飯忘れちまったみたいでさあ」
あはは、と笑うオレに愛想笑いを返すこともなく、堂本はじっと確かめるように見つめる。
なんとなく居心地が悪くて首をすくめると、急に弁当から卵焼きを箸で掴んでこちらに向けてきた。
「は?」
「これやるよ」
「え…いいよ、お前の分なくなるだろ?」
「いいんだよ、沢山あるし。今日のは結構自信作なんだぜ?」
「え…」
反応の鈍いオレの代わりに、周りで堂本を観察していた女子が騒ぎだす。
「えっ!まさかそのお弁当、堂本君の手作り?」
「ああ、オレ一人暮らしだし」
「え~!ちょ~スゴイ!」
(一人…オレと同じなんだ…)
中学生で一人暮らしなんて、余程の事情があるに違いない。
驚いていると、振り返った堂本はそのままオレの口に卵焼きを突っ込んだ。
「んっ」
ほんのり甘い卵焼きはうちとはまた違った味付けだったが…かなり、美味かった。
ごくん、と飲み込み、ついぽろりと本音が零れる。
「…美味い」
「だろ?」
得意げにニッと笑うと、途端に中学生らしい顔つきになる。
そのギャップに鼓動が跳ねて、オレは慌てて立ち上がった。
「オ、オレちょっと購買行ってくる…」
「お、そっか。いってらっしゃい」
「……」
なんでもないことのように掛けられた言葉に戸惑う。
きっと堂本には大した意味なんてないのだろう。
だけど。
それには上手く対応出来なくて、逃げるように教室を飛び出した。
そして5時間目のチャイムが鳴るまで、屋上で時間を潰した。
「え…」
振り返ると、自席で弁当を広げている堂本に話しかけられていた。
ちらりと見ただけだも分かるほどに美味しそうなそれに、格差を見せつけられたようで無性に腹が立つ。
「ん~、なんか昼飯忘れちまったみたいでさあ」
あはは、と笑うオレに愛想笑いを返すこともなく、堂本はじっと確かめるように見つめる。
なんとなく居心地が悪くて首をすくめると、急に弁当から卵焼きを箸で掴んでこちらに向けてきた。
「は?」
「これやるよ」
「え…いいよ、お前の分なくなるだろ?」
「いいんだよ、沢山あるし。今日のは結構自信作なんだぜ?」
「え…」
反応の鈍いオレの代わりに、周りで堂本を観察していた女子が騒ぎだす。
「えっ!まさかそのお弁当、堂本君の手作り?」
「ああ、オレ一人暮らしだし」
「え~!ちょ~スゴイ!」
(一人…オレと同じなんだ…)
中学生で一人暮らしなんて、余程の事情があるに違いない。
驚いていると、振り返った堂本はそのままオレの口に卵焼きを突っ込んだ。
「んっ」
ほんのり甘い卵焼きはうちとはまた違った味付けだったが…かなり、美味かった。
ごくん、と飲み込み、ついぽろりと本音が零れる。
「…美味い」
「だろ?」
得意げにニッと笑うと、途端に中学生らしい顔つきになる。
そのギャップに鼓動が跳ねて、オレは慌てて立ち上がった。
「オ、オレちょっと購買行ってくる…」
「お、そっか。いってらっしゃい」
「……」
なんでもないことのように掛けられた言葉に戸惑う。
きっと堂本には大した意味なんてないのだろう。
だけど。
それには上手く対応出来なくて、逃げるように教室を飛び出した。
そして5時間目のチャイムが鳴るまで、屋上で時間を潰した。
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