オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
- 12/02 初夏の嵐(6)
- 10/13 初夏の嵐(5)
- 10/09 【お知らせ】コメント欄について。
- 09/16 fragile (51) Side: 翼 最終回
- 09/08 fragile (50) Side: 俊&巧
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短いようで長く感じた、テストが漸く終った。
再開された部活動に勤しむ生徒達は、まるで水を得た魚のようだ。
御多分に漏れず、そのなかに己も含まれているのだが。
久しぶりに満足のいく練習を終えたのは、大分長くなってきた日も傾きかけた、6時過ぎだった。
「じゃーなー!」
「おー!」
部室棟の壁に寄りかかりながら、待ち続ける。
俺の前を通り過ぎていく中に探している顔がないことを見届け、時計を何度か確認して。
そしてやがて聞こえてきた声の中に、ひとりを見つけた。
なんでもない風を装って、声を掛ける喉はやや掠れていた。
「聖人」
その声に犬の耳があったらピンと立ったことだろう、きょろきょろと辺りを見渡して、俺を見つけた聖人が顔を綻ばせる。
「巧!」
その一連の仕草にはなんの計算もなくて、だから余計に心が締め付けられる。
「よかったら、その…」
「おう、一緒に帰ろうぜ!」
言いたい言葉の最後を掬い、聖人が当たり前のように隣へ並んでくれた。
一週間のテスト期間の最中には一度も会えなかったから、久しぶりの距離感は気分を浮つかせる。
歩くたびに少しだけ触れる、肩。
劣情のままに引き寄せてしまいたい。
何度も衝動に駆られながら、表情はいつもの通りに繕う。
こんな浅ましい自分を知ったら、どう思うだろうか。
考えると恐怖心が芽生えるのに、こいつなら否定しないでいてくれるはずだ、なんて実に楽観的な答えを期待してしまう。
「あーひっさしぶりに動いたから疲れた~」
「たった1週間だろう?それにお前のことだから、走りこみ位はしていたと思うが」
「まーなー。これで本当になんにもしてなかったら、それこそシバっちにどやされるって」
「それでもレギュラーか!ってさ~」と顧問の真似をしてみせながら、聖人が笑う。
少し似ていたそれに、つられて小さく笑った。
再開された部活動に勤しむ生徒達は、まるで水を得た魚のようだ。
御多分に漏れず、そのなかに己も含まれているのだが。
久しぶりに満足のいく練習を終えたのは、大分長くなってきた日も傾きかけた、6時過ぎだった。
「じゃーなー!」
「おー!」
部室棟の壁に寄りかかりながら、待ち続ける。
俺の前を通り過ぎていく中に探している顔がないことを見届け、時計を何度か確認して。
そしてやがて聞こえてきた声の中に、ひとりを見つけた。
なんでもない風を装って、声を掛ける喉はやや掠れていた。
「聖人」
その声に犬の耳があったらピンと立ったことだろう、きょろきょろと辺りを見渡して、俺を見つけた聖人が顔を綻ばせる。
「巧!」
その一連の仕草にはなんの計算もなくて、だから余計に心が締め付けられる。
「よかったら、その…」
「おう、一緒に帰ろうぜ!」
言いたい言葉の最後を掬い、聖人が当たり前のように隣へ並んでくれた。
一週間のテスト期間の最中には一度も会えなかったから、久しぶりの距離感は気分を浮つかせる。
歩くたびに少しだけ触れる、肩。
劣情のままに引き寄せてしまいたい。
何度も衝動に駆られながら、表情はいつもの通りに繕う。
こんな浅ましい自分を知ったら、どう思うだろうか。
考えると恐怖心が芽生えるのに、こいつなら否定しないでいてくれるはずだ、なんて実に楽観的な答えを期待してしまう。
「あーひっさしぶりに動いたから疲れた~」
「たった1週間だろう?それにお前のことだから、走りこみ位はしていたと思うが」
「まーなー。これで本当になんにもしてなかったら、それこそシバっちにどやされるって」
「それでもレギュラーか!ってさ~」と顧問の真似をしてみせながら、聖人が笑う。
少し似ていたそれに、つられて小さく笑った。
「そういえば、テストはどうだったんだ?」
勉強をみていたこともあり、気になって尋ねてみる。
すると意外にも明るい表情で答えてくれた。
「よかったと思う!あくまでオレ基準、だけど!」
「そうか…よかったな」
安堵して素直にそう返すと、聖人は笑みを苦笑に変えた。
「なんかその台詞、翼にも言われたな~そんなにオレって心配されてる?」
第三者の男の名前を出されて、眉が寄る。
こいつの口からは、あまり聞きたくない名前だった。
「…翼が?」
「そーなんだよ。オレがよく出来たかも、って答えたら、それは巧のおかげなのか?って聞いてきてさ…」
「……」
聖人にはまるで伝わっていないようだったが、俺には十分すぎるほど意図が汲み取れた。
この前の勉強会があってから、あいつも焦っているのかもしれない。
だが、それこそ俺が望んだことだ。
今まで如何に自分が恵まれた立ち位置に居て、どうして何もしてこなかったのかと、後悔すればいい。
「…なあ」
俺は一つ深呼吸して、意を決した。
聞きたくもない気もするが、聞かなければ先に進めない。
大きなことが、ひとつあった。
「…お前と翼は、どうやって知り合ったんだ?」
聖人の目が零れんばかりに見開かれる。
今まで尋ねたことがなかった話題だった。中学が同じということ位しか聞いていない。
ただ2人に流れている空気感がただ親しいだけではないようで――
瞳が泳いだ。
聖人にしては珍しい動揺の仕方に、触れてはいけなかったのかと不安になる。
しかし目を伏せたあと、こちらを捉えた色はいつもの彼だった。
「…そう、だな。巧になら…話してもいいかな」
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