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オリジナルBL小説を扱ってます。 メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
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冬が来てまたぐるりと季節は一周し、同じように寒い2月の冬晴れのある日。

オレは口から出そうな心臓をなんとか抑えつつ、正門の前に立った。
奇跡が起きれば、3年間過ごすかもしれない――広海高校だ。

「ううう…やっぱりオレ、帰る」
「馬鹿なこと言ってないで、さっさと行くぞ」
デリケートなオレの心情をさくっと無視をしたのは、他の誰でもない翼だ。
腕を掴むと、無情にも中へと引っ張っていく。

「お前の合格の一報を、担任が今か今かと待ってるんだからな」

そう、今日は公立高校の合格発表の日。
先に推薦で入学を決めていた翼が、自由登校ということもあり一緒についてきてくれたのだ。
「だからさ、今から謝る言い訳をだな…」
「お前は受かってるに決まってるだろ。オレを信じろって」
「そんな無茶な…」

とも思うが、ここまでやれたのも総て翼のおかげだ。
そんなこいつがはっきりと断言してくれたのを頼もしく思いながら、オレは覚悟を決めて掲示板へと向かった。


すでに掲示板の前には多くの受験生が群がっていた。
歓声を上げる者や項垂れる者。まさに人生の縮図のような光景だ。
(き…緊張する…)
私立も取り敢えず合格はしているが、これからのことを考えると余計な金は掛けたくない。
それにここに入ることを目標としているのだ。今更他校に通う気にはなれそうにもなかった。


「お前の番号、102だよな?」
「お、おお…」

隣に立った翼が、素早く文字の羅列に目を走らせる。
オレは生唾を飲み込み、それに続いた。

数字は90から続いたり途切れたり、段々と大きくなっていく。
そして100番台へと突入し…


そこに――102の文字が、あった。

「あ、あった!あったぞ聖人!」
「う、おおおお…」
横で珍しく大声を上げた翼が、両肩を痛いくらいに叩いてくる。
それによろめきながら、オレは間抜けなことに口が半開きになっていた。

「オレ、受かったんだよな…?」
「そうだよ。これでまた、同じ学校だな」
阿呆な再確認にしっかりと頷いた翼が、お祝いとばかりにくしゃりと髪を撫ぜる。
その掌の感触にじわじわと現実味が帯びてきて…オレは思い切り飛びついていた。

「うわあー!やったあ!受かったああ!」
「ああ、よくやったな!おめでとう!」

しっかりと抱きとめてくれる翼に、ぎゅうと力一杯にしがみつく。
今までの苦労は決して無駄ではなかったのだと、努力すれば報われるのだと、それを教えてくれるような1年近くの戦いだった。
オレは感動のあまりちょっと泣きそうになりながら、離れ翼に向かい合った。


「…有難う、翼。オレ、お前に出会えて本当によかった」
「…聖人」
「高校に入っても、オレ頑張るから…また宜しくな」
「ああ。またテスト前にはみっちり扱いてやるよ」
「……うわ、それは勘弁」
折角人が合格の余韻に浸っているのに。
やっぱり鬼だとオレが首を竦めると、翼が楽しそうに笑い飛ばした。

「…ま、それは兎も角として。礼を言うなら、オレも同じだよ。お前と出会えたことで、こっちでの…日本での生活が楽しいって思えたからな」
「翼」
迷惑がられて当然なのに、まさか感謝されるとは思わなかった。
驚くオレに、翼はそっと目を細めた。
「だから」

急に大人びるその面影に、何故かどきりとした。


「こちらこそ……宜しく、な」


オレはとても大切なものを失ってしまったけれど、この世に一人ぼっちなんかじゃなかった。
ばあちゃんや柳生さん。
そして、目の前にいる翼。

この人達の存在の大きさを知ることが出来たのも…その辛さを体験してこそ、だから。

オレの生きている世界は、案外悪くないのかもしれない。
やっと、そういう風に思うことが――出来た気がするんだ。


「よっし!先ず高校に入ったら彼女作んなきゃだな!なっ、翼!」

入学手続きに必要な書類を抱えながら上機嫌で親友を振り向けば、何故だか酷く呆れた顔をされてしまった。


「…オレはパス」
「なんで!?」


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