オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
- 12/02 初夏の嵐(6)
- 10/13 初夏の嵐(5)
- 10/09 【お知らせ】コメント欄について。
- 09/16 fragile (51) Side: 翼 最終回
- 09/08 fragile (50) Side: 俊&巧
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「山田直なんて、名前まで平凡じゃん」
己の名前を鼻で軽くあしらわれた。その剥き出しの敵意に目を見開く。
まあ確かに初対面で先輩と一緒にいるところを見られた訳だし、オレなんかにいい感情は持たないだろう。
瞬時にそう納得した思いを裏付けるように、ユキさんが続ける。
「アンタさあ、ウザイから消えてよ」
「…えっ」
直球ストレートなその台詞に、思わず間抜けな声が漏れた。
周囲にいた不良達が、どっと笑い声をあげる。
「うっわ!ユキちょーヒデエ!」
「山田くん固まってるし!」
「ハッキリ言いすぎだろー!」
ゲラゲラと遠慮も気遣いも無いそれらが余計に心を冷やす。
ユキさんはうざったそうに髪を掻き揚げながら、「つーかさあ」と 指差した。
「アンタってホモなの?男の、しかも平凡の分際で篤也にひっついてさあ…超キモイ!サイテー!」
「ち、違…っ」
「うるさい!」
あまりにあんまりな罵倒に咄嗟に反論しかけたオレを、一喝で黙らせる。
ここに居る不良達となんら変わらない。いや、それ以上に恐すぎる。
完全に怯んでしまったオレはぐ、と言葉を飲み込んでしまった。
ユキさんはそんなオレを侮蔑の眼差しで見下ろす。
「アンタの意見なんて聞いてないの。…兎に角、二度と篤也の前に現われないで!いいわね?」
尋ねていながら、それは否定を許さないものだった。
(…ウザイとか、サイテーとか…)
一方的な断罪を下され、恐怖を通り越してなんだか可笑しくなってきてしまった。
口端が緩むと、いつの間にか切れていたのだろう、ピリリと痛みが走る。
(酷いなあ…)
己の名前を鼻で軽くあしらわれた。その剥き出しの敵意に目を見開く。
まあ確かに初対面で先輩と一緒にいるところを見られた訳だし、オレなんかにいい感情は持たないだろう。
瞬時にそう納得した思いを裏付けるように、ユキさんが続ける。
「アンタさあ、ウザイから消えてよ」
「…えっ」
直球ストレートなその台詞に、思わず間抜けな声が漏れた。
周囲にいた不良達が、どっと笑い声をあげる。
「うっわ!ユキちょーヒデエ!」
「山田くん固まってるし!」
「ハッキリ言いすぎだろー!」
ゲラゲラと遠慮も気遣いも無いそれらが余計に心を冷やす。
ユキさんはうざったそうに髪を掻き揚げながら、「つーかさあ」と 指差した。
「アンタってホモなの?男の、しかも平凡の分際で篤也にひっついてさあ…超キモイ!サイテー!」
「ち、違…っ」
「うるさい!」
あまりにあんまりな罵倒に咄嗟に反論しかけたオレを、一喝で黙らせる。
ここに居る不良達となんら変わらない。いや、それ以上に恐すぎる。
完全に怯んでしまったオレはぐ、と言葉を飲み込んでしまった。
ユキさんはそんなオレを侮蔑の眼差しで見下ろす。
「アンタの意見なんて聞いてないの。…兎に角、二度と篤也の前に現われないで!いいわね?」
尋ねていながら、それは否定を許さないものだった。
(…ウザイとか、サイテーとか…)
一方的な断罪を下され、恐怖を通り越してなんだか可笑しくなってきてしまった。
口端が緩むと、いつの間にか切れていたのだろう、ピリリと痛みが走る。
(酷いなあ…)
だって、振り回されていたのはオレのほうなのに。
『山田直。オレはお前が好きだ』
突然呼び出されて、付き合えって言われて。
『…ほら、帰んぞ』
拒否権なんて、全然なくて。
『――……名前、呼んでくんねえの……?』
キスまで、されて―――
『直』
――でも…
「……せん」
「はあ?」
唇をぎゅっと噛み締めて、顔を上げる。
今、やっとわかった。
否、覚悟を決めた。
この気持ちの正体、その意味を――受け止める。
「オレ、離れません。…篤也先輩のことが、好きだから」
決意を固めて言い放ったその一言に、辺りがしん、と静まる。
オレが認めたことが意外だったのか、不良達が顔を見合わせる。
リーダー格の男が片眉をあげ、ぴゅうと唇を拭いた。
「へえ、言うねえ…」
それが更に火に油を注いだらしい。
歯軋りの音がしそうなくらいに噛み締めたユキさんの手が、宙を舞う。
「だから…っ!それがウザイって言ってんのよっ!」
パアン、と乾いた音が鳴り響く。
力の限り叩かれた右頬に、熱い線が走った気がした。
しかしそれに気を配る暇すらない。長く延びたネイルが、今度は首を締め上げた。
「なんでよ…なんでアンタな訳…っ!?」
酷く苛立った様子のユキさんにあらん限りの力で締められ、息が出来ない。
なんとか手から逃れようとするが、両手も使えないオレは無力すぎる。
その間も、彼女の爪が皮膚に刺さる。
「っ…!」
「アンタが現われてから、篤也はユキ達と遊んでくれなくなったわ!どうしてよ…っ!ユキの方がずっと前から、篤也のことが好きだったのに…っ!」
酸欠でぐらつく視界。
其処に映る必死な彼女の顔が、泣きそうに歪んだように、見えた。
『山田直。オレはお前が好きだ』
突然呼び出されて、付き合えって言われて。
『…ほら、帰んぞ』
拒否権なんて、全然なくて。
『――……名前、呼んでくんねえの……?』
キスまで、されて―――
『直』
――でも…
「……せん」
「はあ?」
唇をぎゅっと噛み締めて、顔を上げる。
今、やっとわかった。
否、覚悟を決めた。
この気持ちの正体、その意味を――受け止める。
「オレ、離れません。…篤也先輩のことが、好きだから」
決意を固めて言い放ったその一言に、辺りがしん、と静まる。
オレが認めたことが意外だったのか、不良達が顔を見合わせる。
リーダー格の男が片眉をあげ、ぴゅうと唇を拭いた。
「へえ、言うねえ…」
それが更に火に油を注いだらしい。
歯軋りの音がしそうなくらいに噛み締めたユキさんの手が、宙を舞う。
「だから…っ!それがウザイって言ってんのよっ!」
パアン、と乾いた音が鳴り響く。
力の限り叩かれた右頬に、熱い線が走った気がした。
しかしそれに気を配る暇すらない。長く延びたネイルが、今度は首を締め上げた。
「なんでよ…なんでアンタな訳…っ!?」
酷く苛立った様子のユキさんにあらん限りの力で締められ、息が出来ない。
なんとか手から逃れようとするが、両手も使えないオレは無力すぎる。
その間も、彼女の爪が皮膚に刺さる。
「っ…!」
「アンタが現われてから、篤也はユキ達と遊んでくれなくなったわ!どうしてよ…っ!ユキの方がずっと前から、篤也のことが好きだったのに…っ!」
酸欠でぐらつく視界。
其処に映る必死な彼女の顔が、泣きそうに歪んだように、見えた。
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