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オリジナルBL小説を扱ってます。 メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
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叫んだのはユキさんだ。

「なんでそこまでして、そのチビを守る訳!?そいつなんて唯のホモでしょ!?」
怒りと戸惑いで青くなった彼女は、長く伸びたネイルで痛そうなくらい拳を強く握っていた。

「ユキの方がずっと、篤也を満足」
「黙れ」

篤也先輩は言い募ろうとする彼女を一言で制した。
先程リーダーの男へ向けたときと同じ、凍てついた眼差しで射抜く。

「これ以上直を傷つけるつもりなら――例え女でも許さねえ」
「あ…篤…」
「…前にも、そう警告した筈だ」
「っ…それは…」

あまりの剣幕に、ユキさんが息を呑む。
そこに自分の言葉が入る一分の隙間も無いことを悟ったのだろう、じり、と後退する。

「何よ、意味わかんない、もういい…っ!!」

ユキさんは目に一杯涙を溜めて叫び、逃げ出していった。


「あ、逃げたー」
「…放っとけ…あれだけ言えばもう馬鹿な真似しねぇだろ」
吐き捨てるように先輩がそう言うと、今度はこちらに顔を向けた。

「…それより…」

その瞳はもう先程の剣呑さはなく、酷く傷ついた色をしている。


「…あ、先ぱ…」
カツカツと近付いてくる先輩に口を開きかけるが、何と声を掛けていいか判らない。

そんなオレを、先輩は覆い被さるように強く、抱きしめてくれた。
そしてとても辛そうに、掠れた声で呟いた。


「――…悪りィ…」

(あ…)
暖かい腕の中で、少なからず混乱していたオレも落ち着いてくる。
大きな手で頭を撫でながら、先輩が続ける。

「オレのせいでお前をこんな目に遭わせちまって……本当に悪かった…」


(先輩…)

篤也先輩が謝ることじゃない。
それなのに、全て自分の罪過のように受け止める言葉が辛くて…オレは何度も首を振った。

 


先輩がゆっくり身体を起こすと、頬についた血が目に入った。

「篤也先輩、血が…」
「ああ…大丈夫だ、オレのじゃない」
こともなげに親指で拭い取る。
見たところ先輩はどこも怪我をしている様子もなくて、ホッと胸を撫で下ろした。

と、同時に申し訳なさが胸にせりあがる。

「――オレも…大丈夫ですよ」

ぎゅ、とズボンを強く握り締める。
「それより…先輩に迷惑を掛けてしまって、ごめんなさい…」

男なのに簡単に攫われて、護られてばかりで…自分自身がとても情けなかった。

「直、それは…」
焦ったような先輩の声。
判っている。こんなことを言っても困らせるだけだ。
だけど、どうしても言わなくては気が済まなかった。

だって、これから放つそれはもっともっと、我侭なものだから。


「…それでも…」

ゆっくりと、顔を上げる。
大きな手がオレの腕を支え、不安げに見遣る瞳がオレだけを映している。

ああ、やっぱり。
この気持ちは、一時の気の迷いなんかじゃない。

「…それでも…先輩の傍に、居たいんです……」

確信を持てたことが嬉しくて、それでも言の葉にするのには少し恐くて…語尾が揺れた。


「…オレ…篤也先輩が、好きです」


先輩の目が大きく見開かれる。
それをじっと見つめながら、乾いた喉を動かした。

「…こんなオレでも恋人でいて…いい…ですか?」


形から始まった恋人関係だった。
けれどそこに意味が宿る。気持ちが篭る。

オレもこのひとが好きなんだって。そう、向き合って言えるから。

時間が融かすように、先輩がゆっくりと瞬きをする。
その瞳があまりにもオレを愛しそうに見つめるから、胸がじわりと熱くなった。

「…ああ……」


先輩の手が伸びる。
頭を引き寄せられて、もう一度ぎゅっと抱きしめられる。
鼻腔を擽るシトラスに、そっと目を閉じた。

他の人には、不釣合いと言われるかもしれない。
でもオレは―――


「当たり前、だろ……」



このひとが、すきなんだ。
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