オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
- 12/02 初夏の嵐(6)
- 10/13 初夏の嵐(5)
- 10/09 【お知らせ】コメント欄について。
- 09/16 fragile (51) Side: 翼 最終回
- 09/08 fragile (50) Side: 俊&巧
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テスト終了を告げるチャイムが鳴り、教室中から緊張感が抜ける。
僕も詰めていた息を吐き出し、シャーペンを置いた。
一昨日から続いていたテストも、これで残すところ1日となった。
最終日は得意な教科ばかりだから、そう思うと随分と気が楽になる。
後ろの生徒が順にテスト用紙を回収し、教師が出て行ったところで生徒達も騒ぎ出す。
(翼はどうだったかな…)
こんなことを聞くまでもないだろうけれど、つい視線が彼を追ってしまうのはもう癖のようなものだった。
ちらり、と後ろを振り返ると、彼は筆記用具を仕舞っているところだった。
「つば…」
声が届かない範囲ではない。
だからつい呼ぼうとしたところで…彼の視線が動いた。
それに気付き、僕はそのまま止まってしまった。
翼はその斜め後ろの席の、ある人物を見遣っていた。
(聖人…くん?)
見つめられている当の本人は、他の生徒達に囲まれて楽しそうに笑っている。
それを、じっと動かずに見つめている翼は――一体、どんな顔をしているのだろう。
傍に行けば、このまま呼び掛ければ――きっと翼は、いつものように笑いかけてくれる。
だけど何故だか…それが、出来ない自分が居た。
「おーい、席付けーさっさと終わらせるぞー」
そうこうしているうちにSHRの為に担任教師がやってきて、立っていた生徒がバラバラと席に着く。
よかった、とよく分からない安堵を抱えて、僕は担任の言葉を上の空で聞いていた。
僕も詰めていた息を吐き出し、シャーペンを置いた。
一昨日から続いていたテストも、これで残すところ1日となった。
最終日は得意な教科ばかりだから、そう思うと随分と気が楽になる。
後ろの生徒が順にテスト用紙を回収し、教師が出て行ったところで生徒達も騒ぎ出す。
(翼はどうだったかな…)
こんなことを聞くまでもないだろうけれど、つい視線が彼を追ってしまうのはもう癖のようなものだった。
ちらり、と後ろを振り返ると、彼は筆記用具を仕舞っているところだった。
「つば…」
声が届かない範囲ではない。
だからつい呼ぼうとしたところで…彼の視線が動いた。
それに気付き、僕はそのまま止まってしまった。
翼はその斜め後ろの席の、ある人物を見遣っていた。
(聖人…くん?)
見つめられている当の本人は、他の生徒達に囲まれて楽しそうに笑っている。
それを、じっと動かずに見つめている翼は――一体、どんな顔をしているのだろう。
傍に行けば、このまま呼び掛ければ――きっと翼は、いつものように笑いかけてくれる。
だけど何故だか…それが、出来ない自分が居た。
「おーい、席付けーさっさと終わらせるぞー」
そうこうしているうちにSHRの為に担任教師がやってきて、立っていた生徒がバラバラと席に着く。
よかった、とよく分からない安堵を抱えて、僕は担任の言葉を上の空で聞いていた。
担任は宣言通り、明日が最後のテストだから気を引き締めるようにということと、簡単な報告事項を告げて終りにした。
一斉に荷物を抱えて帰っていく学生達に混じり、僕も立ち上がる。
先ほどの嫌な心持を断ち切りたくて、今度こそ翼の元へと急いだ。
「お疲れさま」
「ああ、俊もお疲れ」
目が合うと、翼はにこり、と微笑んだ。
それにホッとしながら、僕は立ち上がった彼の隣に並んだ。
「英語どうだった?僕最後の長文が自信なくて…あれって、3で合ってた?」
「ああ、合ってるよ」
「あ、よかった~」
「あれは難しい問題だったけど、流石だな」
そう言いながら軽く頭を撫でられ、気分が一気に高揚する。
「そんな…翼に教えてもらったからだよ」
「いや、元々俊は勉強熱心だからな」
(それは翼に教わりたいから…なんだけど)
なんて言えない僕は、その言葉に曖昧に苦笑した。
でもこうして褒めてもらえるのだから、これからも頑張ろうと思ってしまう僕はどこまでも現金なのかもしれない。
「あの、翼は最終日の選択、科学だよね?よかったら終わった後…」
明日でテストも終りだから、どこかへ寄り道しない?…と、誘おうとテスト中ずっと考えていた。
今まで他の誰にも言ったことがないだけに、とても緊張するけれど…言ってしまおう。
勢いに乗せて、僕は口を開いた。
と、まただ。
翼は、もう僕を見ていなかった。
帰ろうと鞄を肩に掛け、入り口近くでまた友達と喋っている――彼を、見ていた。
(…どうして…?)
ずきずきと胸が痛む。
震えながら、ゆっくりと、深呼吸する。
「…翼?」
「ん?」
「な、なんでもないや…ごめん」
普通にこちらを見てくれたけど、変わらないけれど…それだけに、違和感が残る。
「じゃあな、聖人」
「おう!また明日なー」
そうこうしているうちに、聖人くん達の会話が終わったようだ。
聖人くんはそのまま帰ろうと教室を出て行った。
いつもなら僕達に声を掛けてくれるのに、と内心驚いていると――翼が先に動いた。
「聖人!」
一斉に荷物を抱えて帰っていく学生達に混じり、僕も立ち上がる。
先ほどの嫌な心持を断ち切りたくて、今度こそ翼の元へと急いだ。
「お疲れさま」
「ああ、俊もお疲れ」
目が合うと、翼はにこり、と微笑んだ。
それにホッとしながら、僕は立ち上がった彼の隣に並んだ。
「英語どうだった?僕最後の長文が自信なくて…あれって、3で合ってた?」
「ああ、合ってるよ」
「あ、よかった~」
「あれは難しい問題だったけど、流石だな」
そう言いながら軽く頭を撫でられ、気分が一気に高揚する。
「そんな…翼に教えてもらったからだよ」
「いや、元々俊は勉強熱心だからな」
(それは翼に教わりたいから…なんだけど)
なんて言えない僕は、その言葉に曖昧に苦笑した。
でもこうして褒めてもらえるのだから、これからも頑張ろうと思ってしまう僕はどこまでも現金なのかもしれない。
「あの、翼は最終日の選択、科学だよね?よかったら終わった後…」
明日でテストも終りだから、どこかへ寄り道しない?…と、誘おうとテスト中ずっと考えていた。
今まで他の誰にも言ったことがないだけに、とても緊張するけれど…言ってしまおう。
勢いに乗せて、僕は口を開いた。
と、まただ。
翼は、もう僕を見ていなかった。
帰ろうと鞄を肩に掛け、入り口近くでまた友達と喋っている――彼を、見ていた。
(…どうして…?)
ずきずきと胸が痛む。
震えながら、ゆっくりと、深呼吸する。
「…翼?」
「ん?」
「な、なんでもないや…ごめん」
普通にこちらを見てくれたけど、変わらないけれど…それだけに、違和感が残る。
「じゃあな、聖人」
「おう!また明日なー」
そうこうしているうちに、聖人くん達の会話が終わったようだ。
聖人くんはそのまま帰ろうと教室を出て行った。
いつもなら僕達に声を掛けてくれるのに、と内心驚いていると――翼が先に動いた。
「聖人!」
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