オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
- 12/02 初夏の嵐(6)
- 10/13 初夏の嵐(5)
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- 09/16 fragile (51) Side: 翼 最終回
- 09/08 fragile (50) Side: 俊&巧
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「翼っ」
どこか焦ったような声に呼び戻された。
はた、と顔をあげれば、こちらを不思議そうに窺っている俊と、相変わらずの仏頂面の巧がいた。
…否。相変わらず、というのは語弊がある。
何の感情も浮かべていないようでいて――そこにありありと示しているのは、あからさまな殺気。
尤も、それに気づくのは同種の感情を持ち合わせている者だけだろう。
(…やべ)
オレは今、何をしていた?
伸ばしていた手を間抜けにもゆっくりと目線で追う。
自分の指が、頬に触れていた。
女の子のように白いわけでもない――けれども艶かしいまでに柔らかく誘う、その肌に。
「っ…」
驚いて手を離す。
友人以上の接触を、範囲を超えぬようにしていた筈なのに…自分からあっさりと跨いでしまっていた。
「も、平気だろ…気をつけろよ、な」
視線を外しながら、平静を装う。
心臓は早鐘のように鳴り響いていた。
不審には思われなかっただろうか。悟られなかっただろうか。
「おう、あんがとなー」
それは杞憂だったらしい。
まだちょっと痛いけど、と言って笑う聖人からは何の疑いも感じられなくて、ほ、と息を吐いた。
自分でもよく分かっている、この感情がコントロール出来なくなっていることを。
あまりに無防備なコイツに、幾度となく高ぶりそうになる熱を抑えることに苦労している。
一人で勝手に盛り上がって、一人でブレーキを掛けて…完全に独り相撲だ。
(こんなこと…コイツに知られたら、終りだな)
自分の席に戻り腰を降ろしながら、深い深い溜息を吐く。
聖人は傷つくことだろう。
漸く心を許せる親友が出来たのに、そいつが己のことを恋愛対象としてみているなんて。
(いや…)
そんな生温い言葉では到底片付けられない。
本当は、もっともっと――
「ほんと、火傷には気をつけなきゃだよな~」
この場の微妙な空気に気付かない聖人が、両手でコップを持つと何度も息を吹きかけながら恐る恐るカップに口をつけた。
そしてぽつり、と続ける。
「日曜もさ」
どこか焦ったような声に呼び戻された。
はた、と顔をあげれば、こちらを不思議そうに窺っている俊と、相変わらずの仏頂面の巧がいた。
…否。相変わらず、というのは語弊がある。
何の感情も浮かべていないようでいて――そこにありありと示しているのは、あからさまな殺気。
尤も、それに気づくのは同種の感情を持ち合わせている者だけだろう。
(…やべ)
オレは今、何をしていた?
伸ばしていた手を間抜けにもゆっくりと目線で追う。
自分の指が、頬に触れていた。
女の子のように白いわけでもない――けれども艶かしいまでに柔らかく誘う、その肌に。
「っ…」
驚いて手を離す。
友人以上の接触を、範囲を超えぬようにしていた筈なのに…自分からあっさりと跨いでしまっていた。
「も、平気だろ…気をつけろよ、な」
視線を外しながら、平静を装う。
心臓は早鐘のように鳴り響いていた。
不審には思われなかっただろうか。悟られなかっただろうか。
「おう、あんがとなー」
それは杞憂だったらしい。
まだちょっと痛いけど、と言って笑う聖人からは何の疑いも感じられなくて、ほ、と息を吐いた。
自分でもよく分かっている、この感情がコントロール出来なくなっていることを。
あまりに無防備なコイツに、幾度となく高ぶりそうになる熱を抑えることに苦労している。
一人で勝手に盛り上がって、一人でブレーキを掛けて…完全に独り相撲だ。
(こんなこと…コイツに知られたら、終りだな)
自分の席に戻り腰を降ろしながら、深い深い溜息を吐く。
聖人は傷つくことだろう。
漸く心を許せる親友が出来たのに、そいつが己のことを恋愛対象としてみているなんて。
(いや…)
そんな生温い言葉では到底片付けられない。
本当は、もっともっと――
「ほんと、火傷には気をつけなきゃだよな~」
この場の微妙な空気に気付かない聖人が、両手でコップを持つと何度も息を吹きかけながら恐る恐るカップに口をつけた。
そしてぽつり、と続ける。
「日曜もさ」
「え、日曜日?」
耳聡くその言葉を拾った俊が尋ねる。
今度は上手く飲むことが出来たらしい。
一口飲んで、聖人が満面の笑みを向ける。
「おう、テストでいい点取れたからさ~翼に奢って貰って、たこ焼き食いに行くんだ」
「そう、なんだ。…2人で?」
「そっ!な、翼」
「…そ、そうだな」
聖人に同意を求められ、ぎこちなく頷く。
こちらに突き刺さるような視線を向けるのは、他の誰でもない。
(拙い…!)
オレは本能的に危険を感知した。
今この、友人が居る前でさえ、この有様なのだ。
これが2人きりで出かけることになったら、どうなる?
どんなに気をつけようを思っていても所詮、無駄なのだ。
オレのアンテナは常にコイツの方向を向いていて、コイツが何かするたび、何かを言うたびに過剰なまでに反応してしまうから。
そう、ついさっきのように。
学校と言う決められた檻のような空間なら、まだ優秀な生徒会長の仮面をつけていられる。
けれど、コイツと2人きりだったら、そんな陳腐な虚構はまるで意味が無いから――
先ほどからコーヒーを飲んでいるというのに、酷く喉が乾く。
オレは普通を装いながら、もう業務用ともいえる笑みを貼り付けた。
大丈夫。まだオレは、このラインを超えていない。
「よかったら、俊も来るか?」
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