オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
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※これはキリリク作品で、数年後篤直のパラレルです。それでも良い方はどうぞー。
ゆっくりと目を開ける。
そこに映る天井の柄が自分の家ではないことにも大分慣れて、もはや驚くこともなくなった。
まだ静かな朝の始まり。
本当はもうちょっと寝ていたいけれど、そろそろ目覚まし時計がけたたましく騒ぎ出す時刻だ。
うつら、としてしまう目蓋をなんとかこじ開けると、首を捻りそれを確かめる。
カチ、と機械的な音がして、長針が指定した時刻を指す。
その絶妙なタイミングで時計の頭を叩いたおかげで、音はコンマ何秒で防ぐことが出来た。
(よかった…)
自分でセットしておいて、なんだけれど。
折角だから、もう少し寝かせておいてあげたい。
自分ではなくて…隣でぐっすりと寝込んでいる、愛しい人を。
長い腕でオレの腰を抱くようにして眠っているその人は、起きているときとは違ってとても無防備だ。
いつも深く刻まれている眉間の皺が緩んで、形の良い唇が薄く開いている。
その様子につい、うっとりと見惚れてしまう。
テレビで見る芸能人よりもカッコいい、と思ってしまうのは、惚れた欲目だけではないはずだ。
その証拠に、この人と歩くだけで街中の女性の視線を集めてしまうから。
(…っと、いけない…)
いつまでもこうして居たいけれど、そろそろ動き出さないと。
回された腕をそっと解いて、ベッドから抜け出すことにする。
朝御飯とお弁当のためにセットしておいた炊飯器はもう炊けているはずだし、昨日の服が寝室の床に散乱しているから、洗濯機に放り込まないといけない。
(朝御飯はアジの開きを焼いて、あとは卵焼きと…)
献立を組み立てながら身体を起こそうとすると、いきなり視界がぐるん、と回転した。
ゆっくりと目を開ける。
そこに映る天井の柄が自分の家ではないことにも大分慣れて、もはや驚くこともなくなった。
まだ静かな朝の始まり。
本当はもうちょっと寝ていたいけれど、そろそろ目覚まし時計がけたたましく騒ぎ出す時刻だ。
うつら、としてしまう目蓋をなんとかこじ開けると、首を捻りそれを確かめる。
カチ、と機械的な音がして、長針が指定した時刻を指す。
その絶妙なタイミングで時計の頭を叩いたおかげで、音はコンマ何秒で防ぐことが出来た。
(よかった…)
自分でセットしておいて、なんだけれど。
折角だから、もう少し寝かせておいてあげたい。
自分ではなくて…隣でぐっすりと寝込んでいる、愛しい人を。
長い腕でオレの腰を抱くようにして眠っているその人は、起きているときとは違ってとても無防備だ。
いつも深く刻まれている眉間の皺が緩んで、形の良い唇が薄く開いている。
その様子につい、うっとりと見惚れてしまう。
テレビで見る芸能人よりもカッコいい、と思ってしまうのは、惚れた欲目だけではないはずだ。
その証拠に、この人と歩くだけで街中の女性の視線を集めてしまうから。
(…っと、いけない…)
いつまでもこうして居たいけれど、そろそろ動き出さないと。
回された腕をそっと解いて、ベッドから抜け出すことにする。
朝御飯とお弁当のためにセットしておいた炊飯器はもう炊けているはずだし、昨日の服が寝室の床に散乱しているから、洗濯機に放り込まないといけない。
(朝御飯はアジの開きを焼いて、あとは卵焼きと…)
献立を組み立てながら身体を起こそうとすると、いきなり視界がぐるん、と回転した。
「わっ!?」
急に抑えつけられて、柔らかくとも突然訪れた衝撃に目を瞑る。
再び枕の感触を頭に感じることになって状況が飲み込めないオレの鼓膜を、起き抜けの掠れた声が震わせた。
「…どこ、行くんだ」
「せ、先輩…」
覆い被さるように覗き込むのは、今の今まで見とれていた、寝ていた筈の恋人で。
まだとろんとした瞳ながら、そこに強い光を宿している。
そこに映っているオレは相当間抜けな顔をしているだろう…顔を真っ赤にしながら。
「あの、ご飯の支度しないと…」
「…まだ、いい」
「でも、先輩今日は一限目から講義だって」
「……」
暫くぼんやりと考えていた先輩が、小さな舌打ちをすると諦めたように体を起こした。
やっと思考回路が繋がったらしい。
気づいてくれたことに安堵しながら…そしてほんのちょっぴり残念に思いながら…オレも起き上がった。
「お早う御座います、篤也先輩」
「…はよ、直」
そういえば言っていなかったな、と思い一番初めの挨拶を告げると、緩く微笑んだ先輩が短く返してくれる。
なんでもないようなこんな朝が、本当に愛しい。
先輩は高校卒業後、大学へと進学した。
元々頭のいい人だというのは知っていたけれど、本格的に受験勉強に取り組んで難関大学に見事合格したのにはとても驚いた。
喧嘩もやめてチームも後輩に任せ、今では普通の大学生…とまではいかないけれど、かつて「月峰の餓狼」と呼ばれるまで荒れていたとは思えないほどに穏やかな生活だ。
今でも金髪はそのままだけど…これは、オレが我侭を言ったからだ。
オレがやめろと言ったらやめると言ってくれたけれど、それはしてほしくなかった。
だって、オレは先輩の今までを否定したい訳じゃないから。
どんなことがあったとしても、それも含めて先輩の全部、だから。
オレはといえば高校の最高学年にまで上がったけれど、大して何も変わってない。
身長も伸びるかと思ったけどあの一年の頃で打ち止めだったらしく、ずうっとこの低さのままだ。
落ち込むオレに先輩は可愛いからそのままでいい、なんて頭を撫でてくれた。
「篤也先輩、これお弁当です」
「ああ…有難う」
朝食を食べたらあっという間に電車の時間になり、先輩が慌しく出かける準備をする。
時計を嵌める仕草まで様になるのだから、本当にずるいなあ、と思ってしまう。
肩掛けの鞄を掛ける先輩に急いでお弁当を渡すと、受け取ってから先輩が口端をあげる。
「今更だけど…今でも先輩呼びだな、直は」
「え、あ…そうですね、もう癖で」
特別意識していた訳でもなかったので、はっとなって口元を押さえる。
いいけど、といいながら靴を履いた先輩が振り向きざま屈んでオレと視線を合わせる。
「…直…先輩付けずに、呼んで?」
「あ…つや……さん」
「もう一回」
「篤也、さん」
うわ、これ結構恥ずかしい。
一気に耳朶まで熱くなったのが自分でも判って、下を向きたくなる。
けれど先輩に顎を捉われてしまったから、それも叶わない。
ほんの少しだけ照れくさそうな、暖かい眼差しに包まれる。
「…いいな、それ」
「っ、あつ」
なにを言ったらいいのか分からずに取り敢えず開いた唇は、すぐに塞がれる事となった。
「行ってきます」
「…行って、らっしゃい…」
閉まった扉にうわ言のように返事をして、オレは真っ赤になった頬を抑えた。
何回、何百回とキスをしても、何年年を取っても――やっぱり慣れそうに無い。
「…篤也さん…か」
呟いてから恥ずかしくなって、でもより一層2人の仲が深まったようで。
オレは煙を出しながら、自分まで遅れてしまうと慌てて制服に着替えることにしたのだった。
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遅くなりましたがキリリクNO,6000、ばなな様リクエストの「未来の篤直」でした!
…あんまり未来要素なかったですね…さいてい…
うわあごめんなさいごめんなさい!こんなつまらないものですが(勿論返品可です)
よければ貰ってやってくださいませ…!!
ばなな様、リクエスト有難うございました!
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