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オリジナルBL小説を扱ってます。 メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
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たった数日だ。
16年生きてきたなかで考えると短過ぎるその時間に、人生がひっくり変えるような出来事が起きたんだ。

最初はただ戸惑っているばかりだったけれど、少しずつ…それだけじゃない感情が混じってきているのも事実で。
そうでなければ、あの人の一挙手一投足にこんなに心が揺り動かされない。

(…流されてるのかな…)
そう戒めてみる。
確かにきっかけはそうだ。
ただ先輩が怖くて逆らえなくて従っていた。
でも、お弁当を作ってあげたいと思ったのは、はりきって作りすぎたりしたのは―――…紛れもなく、己自身の意志、だ。

(…分かんないよ…)
ぎゅ、と、制服越しに胸を抑える。

オレは、今、どうしたいんだろうか。


「あの!」
「へ」
不意に声を掛けられ、間抜け顔で見やる。
そこには先程の皆さんが、一様ににこやかに笑っていらした。
「山田さん!喉渇いてないッスか?」
「なんか食べます?マスターの作る飯はマジ旨いッスよ!」
「ささ、ソファー座って下さい!」
ずい、と詰め寄られ、壁にガンと頭をぶつけてしまった。
先程と違い皆さんはとても丁寧に接してくれる。
それはよく伝わってきた。痛いほど。

「…お…お気遣いなく…」

圧倒されたというか圧迫されたというか…
両手をあげて早々と降参の姿勢をみせると、オレはぎこちない笑顔でそう答えることしか出来なかった。

(先輩達…早く帰ってきて下さい…!)


________________________________________________________________


この店のVIPルームは、幹部だけが立ち入りを許された特別な空間だ。
高級な革張りのソファーに腰掛けた4人の間には、ピンと張り詰めた空気が漂っていた。
その中で素早くキーボードを打ち込む音だけが響く。

ややあって、その手を止めた二階堂が呟くような声色で切り出した。
「…彼等の動きですが、今週に入って4件、この街で暴行事件を起こしています」

その報告に、前園がぴくりと片眉をあげる。
メガネのブリッジを人差し指で押し上げ、二階堂が続けた。

「うち、2件が月峰高校の生徒が被害者ですね」

しん、と場が静まる。
「うわーちょー調子乗ってんじゃん…ムカつく」
言いながら、前園は背もたれから離れ前屈みの姿勢で両手を組む。
語尾を低く落とした彼の目が、冷たく光る。

桜橋はふう、とわざとらしく大きな溜め息を落とすと、顎に指を掛けた。
「一般人に手を出すなんて……全く美しくないね」
首を振るその口元もまた、苛立たしげに歪められる。


2人は同じタイミングで、一番奥の1人掛け用のソファーに座っている人物を振り返った。
そこに座ることを許されているのは、総長だけだ。

「―――篤也」

そう声を掛けられ、嘉堵川篤也が切れ長の瞳を開く。
想い人の前では決して見せることのない、酷く怜悧なそれだった。


____________________________________



結局マスターの作ったオムライスまでご馳走になり、オレは嘉堵川先輩に自宅まで送ってもらっていた。

「…美味かったか?」
「はい!あんなに美味しいオムライス食べたの初めてです!」
卵がふわふわでケチャップライスに程よく混ざって…思い出しただけでまた涎が出そうになる。
バーではあまり作ることもないだろうに、オレに合わせてくれた気遣いまで嬉しい。

「卵が上手く焼けないんですよね…今度コツとか教えて貰おうかなあ…」
母さん――オレの料理の先生だ――も料理上手だとは思うけど、プロからも教えを乞うてみたい。
ぶつぶつ呟いていると、先輩が小さく笑った。

「…オレはお前の料理の方が美味いと思うけどな」
「え!そんな!オレなんかまだまだ全然です!」
ブンブンと首が取れそうな位左右に振るオレに、先輩がまた可笑しそうに笑う。
というより、それは微かに口角が上がるというものだから、本当に笑っているのか判別が難しい。

嘉堵川先輩はとても無口だ。
必要最低限のことしか話さないし、表情の変化も乏しい。
でも、オレにはなんとなく…その機微が、判る様な気がした。
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