オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
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先輩達3人が一様に唖然としている。
彼らにこんな顔をさせるのはひょっとしたらオレだけなんじゃないだろうか。
どぎまぎしながら、何とか言葉を紡ぐ。
「あ、あの…折角だから、皆さんで…と思って…」
視線の先には大きなバスケット。流石にこれを持ち歩く男子高校生など他にいないので通行人にはちらちら見られて大変恥ずかしかったが、これしかなかったので仕方ない。
(順平にもピクニックにでも行くのかとか言われたけどさ…)
しかし今は入れ物が問題なのではない。その中身だ。
「これ…直クンが作ったの?」
「え?はい」
だって前園先輩が作ってきてって、頼んだじゃないか…と思って、オレははたと青ざめる。
(あれ、夢とかじゃないよね?それとも冗談だったとか…?)
だとしたら大変気まずい。
こんなに気合い入れて…お弁当を作ってきてしまった。
「直クンすげー!もうちょー大好き!」
そんな不安を一掃したのは前園先輩の歓声だった。
いきなりガバッと抱きしめられ、ちょっと苦しい。
「キミならいいお嫁さんになれるよ!!」
「お、お嫁さん…!?」
「…離れろ」
喜ぶには微妙すぎる誉め言葉に目を白黒させていると、そんな前園先輩の背中を嘉堵川先輩が踏みつけた。
心なしか大変機嫌が悪い。
酷い扱いにもめげた様子もなく、前園先輩はハイハイと拘束を解いた。
「ちえー篤也怖ーい」
「自業自得だよ」
拗ねてみせる先輩に、桜橋先輩が肩を竦める。
それからオレに振り向き、柔らかく笑いかけてくれる。
「僕らの分まで有り難う、直君」
「い、いえ…!」
ちょっと慌てつつ応えれば、桜橋先輩はにこにこしながらオレの頭を撫でた。
「…あの、先輩?」
2人の先輩は喜んでくれたけれど、この人からはまだリアクションがない。
心配になって、おずおずと顔を窺う。
「…悪かったな」
不意に、嘉堵川先輩が呟いた。
彼らにこんな顔をさせるのはひょっとしたらオレだけなんじゃないだろうか。
どぎまぎしながら、何とか言葉を紡ぐ。
「あ、あの…折角だから、皆さんで…と思って…」
視線の先には大きなバスケット。流石にこれを持ち歩く男子高校生など他にいないので通行人にはちらちら見られて大変恥ずかしかったが、これしかなかったので仕方ない。
(順平にもピクニックにでも行くのかとか言われたけどさ…)
しかし今は入れ物が問題なのではない。その中身だ。
「これ…直クンが作ったの?」
「え?はい」
だって前園先輩が作ってきてって、頼んだじゃないか…と思って、オレははたと青ざめる。
(あれ、夢とかじゃないよね?それとも冗談だったとか…?)
だとしたら大変気まずい。
こんなに気合い入れて…お弁当を作ってきてしまった。
「直クンすげー!もうちょー大好き!」
そんな不安を一掃したのは前園先輩の歓声だった。
いきなりガバッと抱きしめられ、ちょっと苦しい。
「キミならいいお嫁さんになれるよ!!」
「お、お嫁さん…!?」
「…離れろ」
喜ぶには微妙すぎる誉め言葉に目を白黒させていると、そんな前園先輩の背中を嘉堵川先輩が踏みつけた。
心なしか大変機嫌が悪い。
酷い扱いにもめげた様子もなく、前園先輩はハイハイと拘束を解いた。
「ちえー篤也怖ーい」
「自業自得だよ」
拗ねてみせる先輩に、桜橋先輩が肩を竦める。
それからオレに振り向き、柔らかく笑いかけてくれる。
「僕らの分まで有り難う、直君」
「い、いえ…!」
ちょっと慌てつつ応えれば、桜橋先輩はにこにこしながらオレの頭を撫でた。
「…あの、先輩?」
2人の先輩は喜んでくれたけれど、この人からはまだリアクションがない。
心配になって、おずおずと顔を窺う。
「…悪かったな」
不意に、嘉堵川先輩が呟いた。
「こんなに沢山作って…大変だったろ」
「いえ、全然大丈夫です!オレも、食べて貰えるの嬉しいし…っ」
言い繕った訳ではなく、本音だ。
今まで家族か料理部のメンバーにしか振る舞ったことがなかったから。
だからつい、早起きしてバスケットいっぱいに作ってしまったのだ。
先輩が真意を図るように、オレをじっと見つめる。
「…そうか」
そして、ぽんと頭を撫でた。
「…お前は優しいんだな」
「…っ!」
ふわりと、慈愛に満ちた笑顔。
普段きつく寄せられていることが多い眉が弛むと、その端正な顔がより引き立つ。
(こんな顔、するんだ…)
どうしよう。
オレ、今絶対真っ赤だ。
「篤也、先に食べていーい?」
「ああ?良いわけねえだろうが」
またすぐに無表情に戻ってしまった先輩の手が頭から離れる。桜橋先輩にも同じ仕草をされたというのに、なんでこんなに、違うのだろう。
好きだって言われたから意識してしまうのだろうか?
(本当に…それだけ?)
もう1人の自分が頭の端っこで問いかけていた。
「ふ~食った食った!」
「ご馳走さま」
「…美味かった」
食べきれるか心配だったけれど、3人は細い身体のどこに入るのか不思議なくらい沢山食べてくれて。
「お、お粗末様ですっ」
オレはなんだか嬉しくなりながら、軽くなったバスケットを片付ける。
「なんかこれ食ったらコンビニ弁当に戻れなくなるなあーまた作ってきてよ、直クン」
「図々しいよ、龍人。…直君、出来ればでいいからね」
「あ、はい!」
オレとしても、気持ちよく食べて貰えるなら大歓迎だ。
何度も頷いていると、徐に桜橋先輩がそうだ、と思いついたように顎に中指をかけた。
「篤也、直君をアイツらにも会わせないとね」
「ああ…」
ペットボトルを仰いでいた先輩が頷き、オレを見下ろす。
「直、今日の放課後空いてるか?」
「あ、はい」
料理部の部活は火曜と金曜だし、今日は予定もない。
すると前園先輩が、遊びを思いついた子供ように目を輝かせた。
「じゃあ、Red Scorpionのアジトに招待するよー!」
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