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オリジナルBL小説を扱ってます。 メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
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いつも当ブログにお越し下さいまして、有難う御座いますv
この度キリ番制度を設けることにいたしましたのでご連絡いたします。

次回キリ番→2000
(以降1000番ごと設定します)

こちらで設定したキリ番を踏むと専用の映像が出るようになっております。
もし踏んで下さった方からリクエストがあれば小説書かせていただきます♪
(ただしうちの作品のキャラのみになります)

リクエストがなければスルーして構いませんので!
また、作品が上がるのが遅くても気長にお待ち頂きますよう、お願いします…!

それでは、お待ちしておりますー!
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「や、やっと解放された…」

よろり、と下駄箱で靴を履く。
部活仲間からの質問攻めから漸く自由になり、オレはやっと帰宅の途に付くことができた。
といっても、オレは終始のらりくらりと交わしていたのだけれど――そのうち下校時刻のチャイムが鳴ったことでやっと諦めてくれたのだった。
ただし、彼ら全員が納得してくれたかどうかは判らない。

(まあ…本当のことを言ったところで、信じてくれる筈もないのだけれど…)


一瞬考えて、ふ、と苦笑いを漏らす。

オレと嘉堵川先輩はどう見たっていじめられっこといじめっこ…パシリと主人、といったところだろう。
それが…

(うわっ…!ヤバイヤバイ!)

また昨日のことを思い出しそうになってしまい、慌ててぶんぶんと頭を振った。
熱くなりかけた耳を醒ましながら、校門まで歩く。


最終下校時刻を過ぎていることもあり、校庭もすっかり静かだ。
正門の壁に凭れ掛かりながら、オレは仕舞ったばかりのあるものを鞄から取り出した。

パンケーキは焦がしてしまったが、そのあとのクッキーは上手く焼くことが出来た。
食欲旺盛な皆に食べられないように残しておいた分を、袋に移しておいたのだ。
(先輩…喜んでくれるかな…?)

先輩達の好みも粗方把握できるようになってきた。
甘いものはあまり出したことはないのだけれど…確か、前園先輩は無類のスイーツ好き、桜橋先輩は和菓子が好き、嘉堵川先輩はさして得意ではない、らしい。
だから、このクッキーは砂糖を減らしてみたのだけれど…果たして先輩の口に合うだろうか。

(って、オレ…無意識に嘉堵川先輩に合わせてるし…)


はた、とその事実に気付き、ぎゅう、と袋の口を握る。
放課後の家庭科室。

週2日、此処からいい匂いが立ち込めてくることは、部活動などで残っている生徒なら大方知っている。
休憩中にお相伴に預かろうとやって来る者までいるのは、その味がそれだけ評判だからだろう。

中でも一番人気を誇る腕前の持ち主は、今愛用しているフライパンから香ばしい香りを…もっと言うなら少々焦げ臭いそれを…起こしていた。



「――お!直っ!」

焦った声に呼ばれ、ハッと意識が戻る。
目の前のパンケーキがじゅうじゅうと…黒くなっていた。

「わあっ!焦がした!」
大慌てで火を止め、更に移す。
折角生クリームまで用意していたのに、すっかり台無しだ。

「うう…」
「ま…まあまあ、これでも食べられるから、大丈夫だって!」
「けど珍しいよな~直が料理中にぼーっとしてるなんて」

しょげるオレを部の仲間がわらわらと囲む。
1人が言った言葉に皆一様に頷くので、内心ぎくりとしながらも愛想笑いを浮かべた。
「あはは…そ、そうかな…」
「確かに…お前、なんかあったのか?」
「え!な、なんにもないって!全然!」


言えない。
言える訳がない。

数日前―――嘉堵川先輩にキスされた、なんて。


あの後どうやって自分のベットに帰ったか覚えていない。
気付くと朝で、母さんに叩き起こされた。
ぼんやりした間抜け面を鏡で見ても、朝御飯を咀嚼しても夢現でいたのだけれど…玄関のドアを開けた目の前に先輩の姿を見つけて、やっと頭が覚醒した。
よお、と呟いた先輩は、まるで何事もなかったかのようにいつも通りで。
だからもしかしたら夢だったのかな…とも考えたけれど。

昨日も一昨日も、帰るときに先輩は同じように…

「ってうわああっ~!」
「うわあっ!?」
「どど、どうしたんだよ、直っ!?」
街灯がぽつぽつと灯る道を2人で歩く。

2人の間には会話は少なくて、殆どがオレから話すことばかりだ。
先輩は大抵、黙って聞いているか時折頷くだけ。
けれども、初日のような気まずさはない。先輩の反応が素っ気無いそれではないと判ってきたからだ。
それがなんだか嬉しくてつい下らないことばかり喋ってしまったかな、とちょっと反省して顔をあげると、決まって穏やかな色を湛えた瞳とぶつかる。
だから余計にどぎまぎして、また詮無い事を口にしてしまう…それの繰り返しだった。

やがて、家が見えてきた。
「あ、ここで大丈夫です」
門扉の前で振り返ると、ああ、と先輩も足を止める。

「あの…送っていただいて、有難うございました」
「いや、いい…」
頭を下げるオレに先輩が言いながら、少し考える素振りをみせた。
そしてふと、話題を振る。

「…直、明日は部活か?」
「あ、はい」
週二回ある料理部の部活の日だ。
思い出しながら頷くと、先輩は僅かに眉間の皺を寄せる。

「…オレは用事があるから、学校には行かれねえ」
「あ、そうなんですか…判りました、オレ一人で帰」
「駄目だ。行き帰りは送る」
間髪入れずに否定され、思わず言葉に詰まる。

「え、でも…わざわざそんな…」
か弱い女子生徒でもないのに…確かに強いとはお世辞でもいえないけれど…
オレの戸惑いを受けて、先輩が重い溜息を吐きながら口を開いた。
心なしか、その瞳が冷たくなった、気がした。

「――…最近、この辺りに雑魚がうろついてンだ。…うちの生徒も、何人かカモられてる」
たった数日だ。
16年生きてきたなかで考えると短過ぎるその時間に、人生がひっくり変えるような出来事が起きたんだ。

最初はただ戸惑っているばかりだったけれど、少しずつ…それだけじゃない感情が混じってきているのも事実で。
そうでなければ、あの人の一挙手一投足にこんなに心が揺り動かされない。

(…流されてるのかな…)
そう戒めてみる。
確かにきっかけはそうだ。
ただ先輩が怖くて逆らえなくて従っていた。
でも、お弁当を作ってあげたいと思ったのは、はりきって作りすぎたりしたのは―――…紛れもなく、己自身の意志、だ。

(…分かんないよ…)
ぎゅ、と、制服越しに胸を抑える。

オレは、今、どうしたいんだろうか。


「あの!」
「へ」
不意に声を掛けられ、間抜け顔で見やる。
そこには先程の皆さんが、一様ににこやかに笑っていらした。
「山田さん!喉渇いてないッスか?」
「なんか食べます?マスターの作る飯はマジ旨いッスよ!」
「ささ、ソファー座って下さい!」
ずい、と詰め寄られ、壁にガンと頭をぶつけてしまった。
先程と違い皆さんはとても丁寧に接してくれる。
それはよく伝わってきた。痛いほど。

「…お…お気遣いなく…」

圧倒されたというか圧迫されたというか…
両手をあげて早々と降参の姿勢をみせると、オレはぎこちない笑顔でそう答えることしか出来なかった。

(先輩達…早く帰ってきて下さい…!)


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この店のVIPルームは、幹部だけが立ち入りを許された特別な空間だ。
高級な革張りのソファーに腰掛けた4人の間には、ピンと張り詰めた空気が漂っていた。
その中で素早くキーボードを打ち込む音だけが響く。

ややあって、その手を止めた二階堂が呟くような声色で切り出した。
「…彼等の動きですが、今週に入って4件、この街で暴行事件を起こしています」
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