オリジナルBL小説を扱ってます。
メインはLiebeシリーズ(不良×平凡)サブでCuadradoシリーズ(生徒会長×お調子者と親友たちの4角関係)も。pixivで漫画連載してます。更新情報はツイッターでどうぞ。
「はあ!?嘉堵川先輩と付き合うことになった!?」
先輩に連れ去られてから大分気を揉んでいたらしい順平が、昼休みになって漸くたっぷり話せると状況を尋ねてきた。
素直に結論から話せば…先程の自分のように目が点になっていた。
順平の大声を聞いて、オレ達の様子を遠巻きに見守っていた生徒達もひそひそと話している。
(もしかしなくても…噂一気に広まるよなあ…)
「なんで!どうしてそうなるんだ!?」
「知らないよ…オレが聞きたいよ…」
理解不能なことを説明しようもない。
がくりとうなだれて机に突っ伏するオレに、はあ~と溜め息混じりに順平が続けた。
「しっかし、分かんねーなあ~…嘉堵川先輩がねえ…?だって寄ってくる女なんて、選り取り見取りじゃんか」
(そうなんだよな…)
先輩は恐いけど、初対面のオレが見惚れてしまうほど凄く格好いいし、周りには常に女の人が沢山いるっていう噂だ。
そんな人が、どうして平凡で男のオレなんか…
思考の深海に沈んだオレを見かねてか、順平が殊更明るい調子で話題を変えた。
「ま!とりあえずこのことは忘れて、飯食おうぜ!」
「…そ、それがさ…」
「直。飯食いに行くぞ」
言い切る前にドアが開いて、嘉堵川先輩が顔を出した。
再び現れた先輩に、残っていた生徒達は固まる。
しかしオレは正反対に慌てて立ち上がる。
「ハハハ、ハイっ!」
鞄から弁当箱と水筒を取り出すと、順平にごめんと短く断って廊下へ飛び出した。
「…直、頑張れよ…」
骨は拾ってやるぞ、なんて嬉しくもない親友の呟きが後ろから聞こえた。
先輩に連れ去られてから大分気を揉んでいたらしい順平が、昼休みになって漸くたっぷり話せると状況を尋ねてきた。
素直に結論から話せば…先程の自分のように目が点になっていた。
順平の大声を聞いて、オレ達の様子を遠巻きに見守っていた生徒達もひそひそと話している。
(もしかしなくても…噂一気に広まるよなあ…)
「なんで!どうしてそうなるんだ!?」
「知らないよ…オレが聞きたいよ…」
理解不能なことを説明しようもない。
がくりとうなだれて机に突っ伏するオレに、はあ~と溜め息混じりに順平が続けた。
「しっかし、分かんねーなあ~…嘉堵川先輩がねえ…?だって寄ってくる女なんて、選り取り見取りじゃんか」
(そうなんだよな…)
先輩は恐いけど、初対面のオレが見惚れてしまうほど凄く格好いいし、周りには常に女の人が沢山いるっていう噂だ。
そんな人が、どうして平凡で男のオレなんか…
思考の深海に沈んだオレを見かねてか、順平が殊更明るい調子で話題を変えた。
「ま!とりあえずこのことは忘れて、飯食おうぜ!」
「…そ、それがさ…」
「直。飯食いに行くぞ」
言い切る前にドアが開いて、嘉堵川先輩が顔を出した。
再び現れた先輩に、残っていた生徒達は固まる。
しかしオレは正反対に慌てて立ち上がる。
「ハハハ、ハイっ!」
鞄から弁当箱と水筒を取り出すと、順平にごめんと短く断って廊下へ飛び出した。
「…直、頑張れよ…」
骨は拾ってやるぞ、なんて嬉しくもない親友の呟きが後ろから聞こえた。
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それは数分前に遡る。
「直!聞いたか、直っ!」
「え、何が?」
教室に入り鞄を置くなり、親友の順平が駆けてきた。
挨拶もそこそこに息を切らす彼の顔は若干青ざめている。
「今日は朝からなんと、あの嘉堵川篤也が来てるんだってよ!」
「えっ…え~!!」
その言葉がじわじわと脳内に染み込んでくると、遅れて恐怖心が襲ってくる。
嘉堵川篤也。
この月峰高校の生徒なら、誰しも震えあがる恐ろしい名前だ。
「か、嘉堵川先輩って…目が合っただけで半殺しとか、女は皆ポイ捨てとか、入学したときに当時のボスを潰したとか言われる…あ、あの…!?」
数々の噂を連ねるだけで怯えてしまう。
順平もこくこくと異常な早さで頷いた。
「そうなんだよ!いつも学校サボってるのにさ…」
彼はそう言いながら、更に声を潜めて続ける。
「…なんでも、誰かを探してるらしいぜ?」
「うわ…ご愁傷様…」
喧嘩相手か、先輩の不興を買ってしまった人か。
どちらにせよ、先輩に目を付けられたら最後だ。
二度と日の目は見れないだろう。
完全にビビるオレに、順平は不安を吹き飛ばすようにからりと続けた。
「まあ、なんの関わりもない俺達一年には被害はないから大丈夫だって!」
「そ、そうだよね…」
確かにオレは今まで嘉堵川先輩と出くわしたことすらない。
先輩は殆ど学校に来ないし、二年生は教室の階すら違うからだ。
ホッと胸をなで下ろした、その時だ。
乱暴な音を立てて、ドアが開いた。
「直!聞いたか、直っ!」
「え、何が?」
教室に入り鞄を置くなり、親友の順平が駆けてきた。
挨拶もそこそこに息を切らす彼の顔は若干青ざめている。
「今日は朝からなんと、あの嘉堵川篤也が来てるんだってよ!」
「えっ…え~!!」
その言葉がじわじわと脳内に染み込んでくると、遅れて恐怖心が襲ってくる。
嘉堵川篤也。
この月峰高校の生徒なら、誰しも震えあがる恐ろしい名前だ。
「か、嘉堵川先輩って…目が合っただけで半殺しとか、女は皆ポイ捨てとか、入学したときに当時のボスを潰したとか言われる…あ、あの…!?」
数々の噂を連ねるだけで怯えてしまう。
順平もこくこくと異常な早さで頷いた。
「そうなんだよ!いつも学校サボってるのにさ…」
彼はそう言いながら、更に声を潜めて続ける。
「…なんでも、誰かを探してるらしいぜ?」
「うわ…ご愁傷様…」
喧嘩相手か、先輩の不興を買ってしまった人か。
どちらにせよ、先輩に目を付けられたら最後だ。
二度と日の目は見れないだろう。
完全にビビるオレに、順平は不安を吹き飛ばすようにからりと続けた。
「まあ、なんの関わりもない俺達一年には被害はないから大丈夫だって!」
「そ、そうだよね…」
確かにオレは今まで嘉堵川先輩と出くわしたことすらない。
先輩は殆ど学校に来ないし、二年生は教室の階すら違うからだ。
ホッと胸をなで下ろした、その時だ。
乱暴な音を立てて、ドアが開いた。
オレはずっと平凡な人生を送ってきた。
名前だって容姿だって成績だって中の中、身長は特に低いぐらい。取り立てて秀でたこともなく…少しだけ胸を張れるのは料理の腕くらいなもので。
総合的に見れば日本全国の平均かちょっと下くらいの、どこにでもいる男子高校生だ。
これから先の人生だってきっとそう変わり映えはしないだろう。
並な大学へ進学し並な会社に入り、普通にいい人と結婚して幸せな家庭を築く。
それが当たり前で、それでいいのだと信じていた。
しかし、今。
オレの身に、信じがたいことが起きている。
「あ…あの…一体、なんのご用で…」
尋ねる声は震えていた。
情けない。が、仕方がない。
「…あ?」
きっと濁点がついていたであろう、その一言だけで怒鳴られた訳でもないのに全身縮みあがってしまう。
なんで、なんで、オレは今。
―――不良に呼び出されているのだろう―――
名前だって容姿だって成績だって中の中、身長は特に低いぐらい。取り立てて秀でたこともなく…少しだけ胸を張れるのは料理の腕くらいなもので。
総合的に見れば日本全国の平均かちょっと下くらいの、どこにでもいる男子高校生だ。
これから先の人生だってきっとそう変わり映えはしないだろう。
並な大学へ進学し並な会社に入り、普通にいい人と結婚して幸せな家庭を築く。
それが当たり前で、それでいいのだと信じていた。
しかし、今。
オレの身に、信じがたいことが起きている。
「あ…あの…一体、なんのご用で…」
尋ねる声は震えていた。
情けない。が、仕方がない。
「…あ?」
きっと濁点がついていたであろう、その一言だけで怒鳴られた訳でもないのに全身縮みあがってしまう。
なんで、なんで、オレは今。
―――不良に呼び出されているのだろう―――